医療費控除を忘れてたけど対処法ってあるの?
そもそも医療費控除ってどういう制度?わかりやすく説明してほしい。
こんなお悩みを解決します。
本記事の内容
- 医療費控除とは何か
- 医療費控除を忘れた時の対応方法
- これらについて、税理士がわかりやすく解説します。
本記事の信頼性
本記事を書いている僕は、30代、2児の父でもある税理士です。
子育て世代に役立つ育児に関する情報や、マネーに関する情報などをまとめています。
サラリーマンの場合、確定申告する機会が少ないため「面倒くさそう」と医療費控除を受けていない方もいると思います。
出産や入院をしたりと、明らかに多額の医療費を支払ったときには、医療費控除を受けようとすると思いますが、特にそういったことがなければ、年間の医療費なんて気にしていない方が多いかもしれません。
でも、家族全員分の医療費を集計してみると、意外にも年間それなりの金額になっており、医療費控除を取れる場合もあるんです。
最近は「ふるさと納税」を行なっている方も増えていますし、医療費控除と合わせると結構な金額が還付されることもあるので、確認することをおすすめします!
そこで今回は、医療費控除の内容、そして医療費控除を忘れた場合の対処方法について、わかりやすく解説していきます。
最初に結論をいいますと、医療費控除を忘れても5年分は後から申告することができます。
詳細について説明していきますので、是非参考にしてみてください。
なお、ふるさと納税についてはこちらでまとめていますので、参考にしてみてください。
>>ふるさと納税は節税になる?仕組みとおすすめの使い方を紹介します!
もくじ
医療費控除とは
そもそも医療費控除とは何か?
どんな形で税金が安くなるのかについて簡単に説明します。
所得税や住民税の計算の仕組み
まずは「そもそも税金ってどうやって計算しているか」を説明します。
わかりやすく図にすると、このようなイメージです。(厳密には細かい計算や考慮すべき点がありますがあくまでイメージのために簡単にしています)
- 収入金額から経費を引いて所得金額を計算する
- 所得金額から各種所得控除を引いて、課税所得金額を計算する
- 課税所得金額に税率をかけて税金を計算する
2の各種所得控除のひとつが医療費控除となります。
所得控除には他にも種類があり、社会保険料控除、生命保険料控除、寄附金控除、扶養控除などがここに含まれます。
つまり、所得控除の金額が増える→課税所得金額が減る→税金が減る、という仕組みです。
「医療費控除を受ける」とは、確定申告をして、医療費控除を申告することで、課税所得金額を減らす(=税金が減る)ということです。
そのため、忘れると非常にもったいない制度なのです。
医療費控除の計算方法
医療費控除とは、1年間に本人や扶養家族のために払った医療費が一定額(通常は10万円)を超えた場合、その超えた部分の金額を所得控除として、所得金額から差し引くことができる制度です。
自分だけではなく、扶養している奥さんや子供たちの医療費も対象になります。
ただし、保険金で補填された部分は除く必要があり、一定の金額(通常は10万円)を超えた部分が対象となります。イメージとしてはこのような感じです。
出産や入院がなくても、計算してみると、1年分の家族の医療費の合計が10万円を超えていることもあるので、日頃から医療費を管理しておくことがおすすめです。
医療費控除の対象となる医療費とは
「医療費であれば、全て医療費控除の対象になるか」というと、そうではなく、対象にならないものもあります。
このあたりは医療費の内容によって違ってくるので、詳しくは国税庁のHPに、医療費控除の対象と対象外の医療費が記載されているので、確認することをおすすめします。
ざっくりした考え方のイメージとしては「予防のためのものはダメで、普通に考えて治療するためにかかった医療費は対象になる」といった感じです。
予防でなければ、大体の医療費は医療費控除の対象になっています。(とはいっても、本当に判断に迷うものが多いので、詳しくは国税庁のHPを確認することをお勧めします)
参考として、よく質問に挙がるものの具体例を、いくつか記載しておきます。
医療費控除の対象になるもの
- 通院のための公共交通機関の交通費(結構忘れがちです!)
- 出産のための入院時など、公共交通機関の利用が困難なときのタクシー代
- レーシック手術
- 容貌を変えるためや容姿の美化のため以外の治療として行われる不正咬合の歯列矯正
医療費控除の対象にならないもの
- 疲れを癒すためや健康維持のためのマッサージや鍼
- 通院のためのタクシー代(上記の出産入院時を除く)
- 健康診断や人間ドックなど
- 予防接種
医療費控除を忘れた場合の対応方法
もし医療費控除を受けるのを忘れた!という場合の対応方法について説明します。
医療費控除を忘れた場合の対応方法:過去5年分までは申告可能
過去の医療費控除を忘れていたとしても、5年間であれば申告することができます。
具体的には次の場合に応じて、少しだけ手続きが変わってきます。
確定申告していた人が医療費控除を忘れていた場合
すでに確定申告している人の場合、確定申告書の内容を訂正して税金を返してもらうことになります。
このための手続きを「更正の請求」といいます。
確定申告をしている人が医療費控除を忘れていた場合、更正の請求をして、税金を返してもらうことができます。
ちなみにですが、これに対して、過去に行った確定申告の誤りに気がつき、申告書の内容を訂正して税金を追加で支払う場合の手続きを「修正申告」といいます。
つまり、整理すると次のとおりです。
更正の請求:税金を返してもらう手続き
修正申告:税金を追加で支払う手続き
医療費控除を忘れた場合には、税金を返してもらう手続きなので「更正の請求」になります。
更正の請求も修正申告も、国税庁の確定申告書作成コーナーから行うことができます。
確定申告していない人が医療費控除を忘れていた場合
サラリーマンの方などで確定申告をしていない人が、過去の医療費控除を受けるためには、その過去の年分の確定申告を行うことになります。
これを「還付申告」といいます。
なお、還付申告は、通常の確定申告と形式などは全く同じで、呼び方が違うだけです。
こちらも国税庁の確定申告書作成コーナーから行うことができます。
このように、医療費控除を忘れてたとしても、5年分は後からでも申告することができるので安心です。
これまでは医療費控除を受けるためには医療費の領収書の添付が必要でしたが、徐々に緩和され、現在は医療費の控除の明細書を添付すればよいとなっています。
ただし、領収書は5年間は保管しておかないとなりませんので、もらった医療費の領収書は捨てずに保管しておくと、もし、申告をする必要が生じたとしても安心です。
また、領収書がないという方でも、健康保険組合が発行する医療費通知でも医療費控除が受けられるようになっています。
健康保険組合によりますが、過去の分も再発行してくれる組合もあるので、もし領収書がない、という場合でも過去の医療費控除をとることができる場合があります。
まとめ
医療費控除は、使わないともったいない制度なので、使える場合には是非利用しましょう。
仮に忘れていたとしても5年間であれば後から申告することができます。
過去の領収書がなくても、健康保険組合が発行する医療費通知にて控除することもできるので、必要に応じて、加入している健康保険組合に確認してみることをおすすめします。
確定申告についてはこちらも参考にどうぞ
>>サラリーマンの副業は確定申告が必要?わかりやすく解説します。
医療費控除に関連して、実際の出産費用についてまとめています。
>>愛育病院の出産費用まとめ!2020/2022【無痛分娩の場合】
その他こちらも参考になれば幸いです。