医療保険って不要って意見を多く聞くけど、実際どうするべき?入るべき?実際どうしているの?
こんなお悩みを解決します。
本記事の内容
- 医療保険の不要論を踏まえ、2児の父である税理士が、保険見直し時の考え方を整理しています。
- 実際に入院・手術を受け、医療保険からの給付金を受けた経験から、医療保険が必要な人について説明しています。
本記事の信頼性
本記事を書いている僕は、30代で2児の父の税理士です。
子育て世代に役立つ育児に関する情報や、マネーに関する情報などをまとめています。
実際に20代の頃に入院、手術を受け、医療保険から給付金を受けた経験があります。
「医療保険はいらない」といった意見を良く聞きます。
一方で、CMなどでも「万が一に備えて」と不安を煽られるようなことを言われ続けていると「とりあえず入っておいた方が安心かな」とも思ってしまいます。
僕も社会人になりたてのとき、知識もなく、保険会社に勤める親戚に言われるがまま「入っておいた方がいいのか」といった感じで、勧められた商品に何の疑いもなく加入していました。
数年後、見直す機会があり、いろいろと調べたところ、明らかに不要な特約がいろいろとついていたことに気がつきました。
親戚からの紹介だったので、若干ショックでしたね。。。
すぐに解約し、別の医療保険に切り替えました。
今思えば、非常に無駄なお金を払っていたものです。
その後も、ライフステージが変わるタイミングで保険の定期的な見直しをしていますが、第2子が産まれたタイミングで改めて保険の見直しを行いました。
社会人となり、仕事などを通じてマネーに関する知識も増えてきた中で検討した結果、今回、既存の医療保険から別の医療保険に入り直しました。
僕が加入した医療保険の主な特徴は次のとおりです。
- 保険期間/払込期間:終身
- 入院給付金:1日5,000円(60日型)
- 入院一時給付特約:10万円(入院日数に関係なく給付)
- 先進医療特約
- 手術給付金:手術内容によって2.5万円から25万円
悩みながら決めた部分もあるので、今後、考えが代われば、変更する可能性もあるかもしれません。
「医療保険は必要ない」という不要論を踏まえ、今回、僕がそれでも加入した理由についてまとめています。
もし、医療保険に関してお悩みの方がいれば、参考にしてもらえると幸いです。
また、社会人になりたての頃に、実際に入院・手術を受けて医療保険の給付金をもらったことがあるので、そのときの経験から、医療保険に入っておくべき人について、僕なりの考え方もまとめているので、こちらも参考になれば幸いです。
もくじ
医療保険とは
まずは医療保険について簡単に整理しておきます。
基本的な補償内容
どんな特約をつけるかによって幅はありますが、基本的な医療保険の補償内容は次の3つです。
- 入院給付金
- 手術給付金
- 先進医療特約
つまり、入院した日数や手術内容に応じて給付金を受けることができ、先進医療を受けた場合も実費額が給付されるというものです。
がん特約などをつけるケースも多いと思いますが、僕は医療保険とは別でがん保険に加入しているので、医療保険にはがん特約はつけませんでした。
医療保険の加入割合
公益社団法人生命保険文化センター「2021年度生命保険に関する全国実態調査」によると、民間の生命保険会社が取り扱う生命保険商品に加入している世帯のうち、医療保険・医療特約への世帯加入率は93.6%となっているそうです。
同調査における生命保険の世帯加入率は89.8%なので、かなり多くの人が医療保険・医療特約に加入しているといえます。
このような数値を見ると、大半の人が「医療保険は必要だ」と思っているのか、逆に「医療保険に入らないと不安だ」だ思っているということですね。
このような実態の一方で、「医療保険は不要だ」という意見も多く聞きます。
理由としては、次のような理由が挙げられています。
- 高額療養費制度
- 貯蓄があれば入る必要はない。
- 医療保険で元を取ることはできない。
- その分貯蓄や運用に回した方が経済合理性がある。
僕も確かにそうだと思い、見直しの時には随分悩みました。
でも、最終的にはこれらの不要論を踏まえた上で、加入することにしました。
その理由について説明したいと思います。
医療保険に入るべきか?不要論についての検討
医療保険の不要論としては、健康保険制度、高額療養費制度、貯蓄があれば不要などが挙げられます。
僕が自分の保険を見直すときに、これらについて検討した内容をまとめていきます。
健康保険制度、高額療養費制度
ご存知の通り、日本は国民皆保険制度がとられています。
会社員であれば健康保険、自営業者等であれば国民健康保険といった感じに、日本では全ての国民が公的な医療保険に加入しています。
そのため、基本的にほとんどの治療が保険適用となることから、医療費は3割負担になっています。
さらに、それでも高額な医療費が発生した場合には、所得に応じた自己負担額を超えた医療費部分の給付を受けることができる「高額療養費制度」が設けられています。
つまり、医療費の上限が設定されており、入院したとしても、高額な医療費はかからないため医療保険に入る必要はない(医療保険として支払わず、その分を貯金していれば、それで賄える)という理由です。
確かに、これを聞くと上限があるから医療費はそれほどかからなそう、と思いますよね。
僕が気になったのは、この制度は年収によって上限額が異なる、ということです。
高額療養費制度における負担額は次のとおりです。
年収約1,160万円〜 | 252,600円+(医療費ー842,000円)× 1% |
年収約770〜約1,160万円 | 167,400円+(医療費ー558,000円)× 1% |
年収約370〜約770万円 | 80,100円+(医療費ー267,000円)× 1% |
このように、年収によっては上限とはいえ26万円ほどの負担が生じるということです。
また、高額療養費制度のこの上限額はあくまでひと月の上限額です。
つまり、3ヶ月連続で上限を超えた場合、上限額の3ヶ月分がかかるということです。
また、1年で3回以上、上限額に達した場合には、4回目以降は上限額が下がります。
大体半分ちょっとくらいまで下がるイメージです。
さらに、高額療養費制度では差額ベット代や先進医療の技術料は対象にはなりません。
それほどの長期間の入院をする可能性がどれだけあるのか、という話はもちろんあると思います。
高額療養費制度があるから大丈夫、といった簡単な話でもないと思うので、自分の上限額がいくらになるのか、という点を踏まえ、少しでも給付金で補填を得る、という考え方は必要だと考えました。
また、今の医療制度を継続させることができるのか、という論点もあります。
社会保障費用は高齢化に伴い年々増額し、将来予測でも今後20年で倍増するという予想もあります。
参考:厚生労働省「2040年を見据えた社会保障の将来見通し」
そんな中で、本当に現在の高額療養費制度が維持されるのか、疑問に思うところです。
貯蓄があれば不要
不要論として、貯蓄が十分にある人はそれで賄えばいいというものがあります。
全くもってその通りだと思います。
教育資金、老後資金、住宅購入資金などを考慮しても、十分な貯蓄があるのであれば、基本は元を取ることができない医療保険に入る意味はないと思います。
僕はこの「十分な貯蓄」について少し考えてみました。
例えば、急な入院で数十万円という負担であればまだいいかもしれません。
ただ、先進医療を受けるような事態に万が一陥ってしまい、数百万円という支出が生じた場合はどうでしょうか。
さらに、ちょうど教育資金でまとまった支出が必要な時期と重なったら。。
非常にレアなケースかもしれませんが、僕にとっての保険はレアケースが生じた時のリスクヘッジという見方が強く、医療保険への一番の期待は、入院給付金や手術給付金よりもこの先進医療に対する補償だと考えています。
先進医療とは?
先進医療とは、厚生労働大臣が定める高度な医療技術を言います。
2022年7月24日時点で84種類とされており、定期的に見直しがされています。重粒子線治療などが挙げられ、これらは一件あたりの技術料が300万円を超えるものなどもあります。
また、これらの先進医療を受けられる医療機関は限定されております。
そもそも医療保険は元が取れるものではない
例えば、月額保険料が3,000円だとして、30歳から60歳までの30年支払うと108万円になります。
これに対して、入院、手術をし、60日間入院した場合、最大でも給付額の合計は65万円ほどです(今回契約した保険の場合)。
もし2回、60日間入院して手術をしたのであれば、単純に支払った保険料の元をとれたと言えるかもしれません。
ですが、これは結果論でしかないですよね。
貯蓄や運用に回した方が、手元の残るお金が増える可能性が高い、という意見は正しいと思います。
僕もそう思います。
一方で、もしかしたら、入院は1回かもしれないものの、先進医療を使う必要が生じる可能性も否定できません。
自分が独身ならこのタイミングで医療保険には入らないと思います。
でも、子供が2人いる状況だと、先進医療を受けることになるリスクを簡単に無視できない気持ちが強く働きました。
医療保険に入るべきか?不要論を踏まえた僕の結論
不要論について検討した結果、僕は医療保険を見直して、切り替えを行いました。
その結論を出した理由について、まとめていきます。
もちろん、これは現時点での結論であり、掛け捨ての医療保険などは、今後も自分のライフステージなどに応じて見直す機会があり、また、自分の考え方が変わることもあると思います。
あくまで現在の状況において考慮した上での結論ですので、参考になれば幸いです。
高額療養費制度など現在の社会保障制度が維持されるかわからない
一般的に挙げられる不要論は、あくまで現在の社会保障制度が継続することが前提になっていると考えます。
3割負担や高額療養費制度が、現在の財政状況を踏まえて本当に将来にわたって維持されるのか。
もしも制度が大きく変わった場合、その時の年齢で医療保険に入ることができるのか。
経済や財政に関しては、良いニュースよりも暗いニュースの方が多いこの国で、本当にこの先も社会保障制度が維持できるのか、維持することを前提とした不要論に、本当に賛同できるのか。
残念ながら、僕はこの点を懐疑的な見方をしてしまうので、現在の社会保障制度が将来変わってしまうリスクを考慮し、現時点で医療保険に入ることにしました。
先進医療を受けるリスクを無視できない
僕が医療保険に入るもう一つ大きな理由はこれかもしれません。
自分の親族も多くが癌を経験しています。
親族以外でもやはり多いです。
自分自身にもそのリスクは当然あります。
癌に関するもの以外の先進医療を受ける可能性だって否定できません。
確かに、医療保険は元が取れないし、貯蓄する方が経済合理性が高いことは頭ではわかっていますが、僕は自分の性格上、このリスクを無視できなかったので、医療保険に入ることにしました。
いつでも辞められる選択肢を選んだ
僕は、今回、終身タイプの医療保険に入りました。
つまり、月額保険料は生涯変わりません。
医療保険はまだいいか、と思っても、少なくとも将来のタイミングで同じ補償内容であれば、今の保険料より安く加入することはできません。(もちろん、いつから入るか、将来の保険料がいくらかによって、トータルでどちらの支出が多くなるかは計算しないと分かりませんが)
年々増加する高齢化と国の医療費に対して、伸びないGDPや所得水準と、将来が不安だらけなこの国で、医療制度の今後がどうなるかは分かりませんが、医療保険に入るハードルや保険料が高くなる可能性もあるかもしれません。
保険料が安い年齢の時に終身保険に入ることは、少なくとも将来の「入っておけばよかった」という後悔は潰すことができます。
もし、今後もっと安く補償内容の良い保険商品が出てくれば辞めればいいだけですし、今のシミュレーションにおける金額の損得だけでなく、いつでも辞められる選択肢を持っておく、というのも一つの考え方としてあってもいいかな、と思っています。
というわけで、不要論について自分なりに検討した結果、僕はこのタイミングでは医療保険に入っておいた方がいいと考え、見直しの結果、医療保険の切り替えを行いました。
経験上、医療保険に入っておいた方がいい人
ここからは実際に医療保険の恩恵を受けたことがある立場から、医療保険に入っておいた方がいい人について、僕なりに考えてみました。
僕は社会人2年目の時に入院して手術をしています。
肺気胸という肺に穴が開くという病気になりました。
痩せ体型の人がなりやすいらしく、10日ほど入院しました。
この時、医療費は高額療養費制度により上限額となったものの、有給を全て使っていたこともあり、入院期間の給与は無給扱いになってしまいました。
その結果、傷病者手当の支給を受けました。
ただ、傷病者手当についても無給期間の4日目からの支給で、かつ、標準月額報酬の3分の2の支給となります。
同じ月に社会保険料の控除などは通常通り行われるため、社会人2年目のそれほど貯蓄もしていなかった僕からすると、入院費用+給与の減額はダメージとしてはかなり大きいものでした。
そんな時、医療保険からの給付金は、この収入の落ちた分の補填としては非常にありがたいものでした。
貯蓄が少ないなど、その月の給与が減ってしまうと困るという状況の人、特に若い人については、医療保険は安く入れますし、入っておくと僕のように何かあった時に非常に役に立ちます。
ある程度の貯蓄ができればすぐ辞めてもいいと思いますし、あくまで結果論になりますが、参考になれば幸いです。
まとめ
不要論はどれも理屈としては正しいものの、加入する人の年齢、家族構成、貯蓄、収入、考え方によってどのような医療保険に加入するかを考える必要があると思います。
あと大事なのは、定期的な見直しは必須です。
数年経てば、加入しているものよりも良い内容の商品や、同じ内容で金額の安い商品などが出てくることもあり、実際、僕も今回の見直しでは補償内容はほぼ変わらず、前よりお得な商品に切り替えています。
保険の見直しをしてくれる保険代理店は実店舗やネット含めたくさんありますよね。
僕も見直しの時には、いくつかの代理店や知り合いの保険営業マンなどから色々な商品を紹介してもらい、その中から決めました。
手数料の違いもあり、代理店の紹介してくれる商品が自分にとって1番かというと、そうではない面もあると思いますし、FPの考え方によって、商品の見方を違ったりするので、参考にはなりますね。
自分の考え方と合うプランナーがいると、見直しもスムーズに進みます。
ですので、保険の見直しの際には、いくつかの代理店をうまく使いながら検討することをお勧めします。
こちらの記事も是非参考にしてみてください。