外貨建て終身保険を解約したときの税金について教えてほしい。 何か注意点はある?
こんなお悩みを解決します。
本記事の内容
- 外貨建て保険の解約時の税金の内容
- 外貨建て保険の契約形態と税金の種類
- 一時所得の計算方法
- ふるさと納税をしている場合の注意点
これらを税理士が解説します。
本記事の信頼性
本記事を書いている僕は、30代で2児の父でもある税理士です。
子育て世代に役立つ育児に関する情報やマネーに関する情報などをまとめています。
2022年10月21日に、円相場が1ドル=151円90銭台と32年ぶりの円安を更新しました。
その後は120円台になったりもしましたが、ちょうど1年後である2023年10月3日には再び150円台に乗せました。
ドル建て終身保険に加入している方は、円安で毎月の保険料が想定以上に増えている方も多いと思います。
円安を受け、外貨建て保険の解約を検討中の方、実際に解約した方もいるのではないでしょうか。
僕も2022年10月の32年ぶりの円安のタイミングでドル建て終身保険2本のうち1本を解約しています。
詳しくはこちらをご覧ください。
そこで今回は、ドル建て終身保険(外貨建て保険)を解約し、解約返戻金を受け取った時にどのような税金が課されるのか、をまとめています。
実は、ふるさと納税をしている方に影響がある場合もあるので、注意が必要です。
もくじ
生命保険契約の解約返戻金の税金
まずは生命保険契約を解約した場合の解約返戻金の課税関係について整理します。
契約形態ごとの解約返戻金の税金
解約返戻金は、契約形態によって税金の課税関係が異なります。
具体的には契約者、保険料負担者、被保険者、返戻金受取人がどのような関係になっているかにより、所得税/住民税が課される場合、贈与税が課される場合など、税金の種類が異なってきます。
これらをまとめると次のようになります。
つまり、
保険料負担者=返戻金受取人の場合、所得税と住民税が、
保険料負担者≠返戻金受取人の場合、贈与税が課されることになります。
所得税が課される場合の所得区分
解約返戻金は、保険料負担者=解約返戻金受取人のときに所得税が課されますが、
具体的には一時所得に該当します。
一時所得は次のように計算します。
一時所得 = 総収入金額 ー 収入を得るために支出した金額 ー 50万円
解約返戻金であれば次のようになります。
解約返戻金 ー 既払込保険料 ー 50万円
上記で計算された金額の2分の1の金額が給与所得などに合算されることになります。
その金額に税率を掛けて税金が計算されます。
次のようなイメージです。
参考
なお、一時払養老保険契約を保険期間の初日から5年以内に解約した場合などに受け取る解約返戻金は、一時所得ではなく20.315%の源泉分離課税(源泉徴収されて課税が完結する制度)が適用されます。
一時所得がある場合の注意点
一時所得が生じた場合、気を付けるべき点がありますので、まとめています。
ふるさと納税をしている場合
ふるさと納税の返礼品も一時所得の対象となります。
そのため、解約返戻金によって一時所得が生じた場合、ふるさと納税の返礼品も一時所得に入れて計算する必要があります。
詳細はこちらでまとめているので参考にしてみてください。
通常、ふるさと納税のみであれば、年収4,000万を超えるような場合にのみ、一時所得を考慮することになります。
ただし、解約返戻金など他に一時所得が生じている場合には、考慮する必要が生じるケースもあるので注意が必要です。
その他に一時所得がある場合
ふるさと納税返礼品の他には次のようなものが一時所得に該当します。
- 損害保険契約等に基づく満期返戻金等
- 懸賞の賞金、商品等
- 競馬の馬券の払戻金等(雑所得に該当するものを除く)
そのため、生命保険の解約返戻金やふるさと納税返礼品以外にこれらの一時所得がある場合には、計算に含めることになるので、注意が必要です。
まとめ
外貨建て終身保険を解約したときの税金についてまとめてみました。
一時所得は、通常あまり生じることがない所得かもしれません。
ふるさと納税を行う人は増えていますが、返礼品が一時所得に該当することはあまり知られていないので注意が必要です。
円安が続き、外貨建て終身保険の負担が大きくなり、解約を検討する人も多いかと思います。
あとで税務署などから思わぬ指摘を受けないためにも、一時所得の申告は忘れないように行う必要がありますので、ご注意ください。
こちらも是非参考にしてみてください。